FUJIFILMの単焦点レンズや、XF16-55mmやXF18-55mmなどのズームレンズを使う人が次に検討するレンズがこの「XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」
単焦点レンズや標準ズームレンズは日常使いには十分だけど、旅行や風景を撮る時に物足りなさを感じてしまいます。最初は単焦点やズームレンズから入って、次へのステップアップとして望遠のズームレンズを検討するのはみんな同じ。
このレンズが気になるけど、使い勝手や画質など実際のところどうなの?と考える人は多いはずです。
そこで今回XF55-200mmの基本スペックから、使い勝手、使ってみて感じた事、使うべきシチュエーションや作例を紹介します。良い面も悪い面も含めて紹介します。
風景だけではなく日常使いにもよく使えるレンズということが分かり、結果的に「大正解のレンズ」でした。
迷っている人にとって少しでも参考になれば幸いです。
Contents
XF55-200mmの性能
基本的な性能は以下の通りです。
焦点距離 | 55-200mm(換算84-305mm) |
---|---|
F値 | 3.5-4.8 |
全長 | 118mm(ズーム時177mm) |
重量 | 580g |
フィルター径 | 62mm |
レンズ構成 | 10群14枚 |
絞り羽枚数 | 7枚 |
手振れ補正 | 約4.5段 |
防滴防塵 | なし |
最短撮影距離 | 1.1m |
発売日 | 2013年5月 |
価格 | 68000円程度(2020年11月 Amazonにて) |
あくまでもこのレンズの数字的スペックですので、参考程度にと思ってください。
最も大切なのは、写りや使い勝手などの数字には表れない性能だと僕は思っています。以下の作例や使用してみての感想にて詳しく解説しています。
良いところ
僕が感じたこのレンズの良い点は以下の5つです。
1. 作り・デザイン性
2. 焦点距離
3. 価格
4. 性能面
5. 画質
それぞれ紹介していきます。
妥協のない作り
漆黒のブラックで染められたボディ。このレンズは重さが580gあります。X-T4がバッテリー込みで607gなのでカメラ本体ぐらいの重量があります。
持ってみるとやはりずっしりと感じます。この重さだけあってしっかりと詰まったような高級感があります。その作りは隅々まで配慮された高級感が感じられます。
ズームをするとレンズが伸びるのですが、伸ばす時に適度な重みを感じ、レンズを下に向けた時に自重で伸びたりしません。
デザインや作りなど細かいところまでしっかり作られているなぁと感じる良いレンズです。
レンズの高級感は写真を撮るときのモチベーションに直結するポイントだと感じるので、良い点の1つです。
ちょうどいい焦点距離
ズームレンズを使用する時に一番標準的なのが、FUJIFILMでいえば18-55mmまたは18-135、16-55mmあたりです。
FUJIFILMで最初に検討されることが多いこれらのズームレンズや、最も評価が高い単焦点レンズ23mmや35mmを使用する人にとって次に買うレンズとして、マストな選択がこの55-200mmのズームレンズなのではないでしょうか。
僕自身も単焦点レンズ2本(XF23mmF2、XF35mmF1.4)をメインに使用しています。それらとのバランスが良いこのレンズ以外は選択肢にありませんでした。
これ1本で十分、完璧な画角。XF23mmF2というFUJIFILMの単焦点神レンズ
標準域の単焦点レンズの次に買うズームレンズを検討する際に、18-55mmや16-55mmなどの標準ズームを選ぶと、便利なズームに頼ってしまい単焦点の出番が少なくなってしまう。あるいは画質の良い単焦点ばかりになってしまうということがあるような気がします。
焦点距離の相性を考える上で、55-200mmという焦点距離がぴったりだと思います。
広角側が50mmということで、標準域よりも視野(画角)が狭くなります。
さらに望遠側の換算305mmはびっくりするぐらい便利に感じます。目で見えるか見えないかのレベルの遠いものでも撮る事ができる。
以前この記事でも書いた通り、好きな画角は年齢とともに比例して数字が大きくなっていくようです。興味深いですよね。
僕自身もちょっと前は広角が大好きで、広角だけでいける!と思っていたのですが、最近になって少し望遠寄りの55mmあたりでファインダーを覗いても心地よく感じています。
圧倒的安さとは言えないけど
2013年発売当初の価格が93000円だったレンズも価格が落ち着いてきて、2020年11月現在Amazonで最安値68000円程度。
FUJIFILM 望遠ズームレンズ XF55-200mmF3.5-4.8R LM OIS
比較されることが多いFUJIFILMの下位モデルXC50-230mmF4.5-6.7が30000円程度なので、それよりはやや高いなと思ってしまいます。
ですが高級感のあるデザイン、画質、性能などを含めるとこのレンズの方が上回ると思います。
もう一つ比較されることがあるXF50-140mmF2.8は167000円程度です。
これは、F2.8通しのレッドバッジ付きの大三元レンズではありますが、16万超えはさすがに高い…
そのように感じる人にも7万円程度の55-200mmはコスパに優れた良い選択肢と言えます。
望遠側140mmに比べて200mmのメリットも大きいです。
性能面では
スイッチの切り替え一つで約4.5段までの手触れ補正を入れることができます。
望遠レンズということで、動きのある被写体を撮ることが多いレンズなので手振れ補正は良いなと感じます。
X-H1にボディ内手ブレ補正は搭載されていますし、最新のX-T4にも搭載されますが、それ以前の機種やX-Proシリーズには無いので、ズームレンズの手ブレ補正はまだ必須なのでは無いかと感じます。
画質は
レンズを選ぶ時、使いやすさと、価格と画質のバランスが大事なのではないでしょうか。画質については、以下では作例を載せています。
撮ってみて思うのはかなりシャープな画が得られるということ。
広角側はもちろんのこと、望遠側でも思ったより線がくっきりはっきり写ります。逆にいうと望遠側のボケがやや弱いかもしれません。ふわっと柔らかく、というよりはシャープさが強いレンズという感じでしょうか。
使用していく中で、最初に思ったよりも満足な写真が撮れることが多かったです。
大三元レンズのXF50-140mmf2.8には到底及ばないレンズだと思っていましたが、案外そんなことはなく非常に良い写真が撮れます。
悪いところ
良いところばかりでなく、もちろん気になる点もありました。
最初から知っていたデメリットもあれば、使ってみて初めて感じたこともありました。それが以下の3つ。
1. F値
2. 重量感
3. 性能面
これらも1つ1つ紹介します。
F値
このレンズのF値は3.5-4.8。購入する前から知っていたことなのですが、やはりややF値が足りないです。
広角側では開放でも3.5で、望遠側に至っては4.8です。日中は良いのですが夕方や夜になってくるとシャッタースピードが遅くなってしまい、高感度にする必要があります。
ボケもあまり期待はできません。しかし被写界深度を生かしたズームでのスナップでは良いボケが生まれるのでそのように使用するのが良いなと感じています。
重さは案外気にならなかった
580g。かなり重く感じるでしょう。購入前はこんなに重いレンズを持ち歩くのだろうかと思って買うのを躊躇していたのですが、思い切って買ってみると、実際はそうでもないなと思いました。
単体で持つとかなり重たく感じます。しかし実際カメラに装着して撮影すると、右手でシャッターに手を当てカメラをホールドし、左手でレンズを支えるので案外重さは感じないものです。
何よりX-H1をメインで使っていた僕にとってこのぐらいの大きさ、重量感の方がカメラの大きさに合うような気さえします。
X-H1ユーザーにとってはコンパクトな単焦点レンズよりも、ある程度の大きさのあるこのようなレンズの方が良いと似合うと思います。
X-H1よりもややコンパクトなX-Tシリーズや、X-Proシリーズに装着してもバランスは悪くなく、かっこよく見えるレンズです。
ただこれらのカメラでは首から下げた時に、レンズの重みによってカメラがお辞儀をしてしまうのだけは気になるところです。そればかりはどうしようもないのですが…。
性能面
もう少しだなと感じている性能は2つあります。
1つ目は「AFの速度」
ズームで動体を追う際に、スピードに追いつかないことが時々あります。暗い場所でピントが合わない時もあります。
このAF速度はあまり良くないことは分かっていたので、割り切って使用しています。とは言えある程度までなら全然OKですし、僕自身動きのスナップや風景メインで、動きある物を追うことは多くないので、事足りています。
もしズームで速い動きを捉えたいという人はもう少しAF性能の良い、XF50-140mmを検討する必要なあります。
2つ目は「防滴防塵が搭載されていないこと」
風景を撮るようなズームレンズなので、気候に左右されず使用したいと思うのですが防滴防塵が無いので、天気が悪い日は使用しないという選択になります。
この点も絶対必要という人は、XF50-140mmを選ぶべきでしょう。
この2点以外は性能面で特に気になる点がありません。
言い方を変えれば、これらの性能面と明るさやボケの問題で、XF55-200mmとXF50-140mmのレンズの価格差があります。画質は細かいことを除けば、それほど変わりません。
僕は圧倒的にコスパが良い、XF55-200mmを選択する方が良いと考えます。
作例を紹介する
実際にこのレンズで撮った写真を紹介していきます。
いろんなシチュエーションで撮影した写真をいくつか。
僕がこのレンズで撮りたくなるのは、風景や人、スナップなどです。
特に人は近づくと威圧感を与えてしまい自然な表情を切り取れないので、少し離れた場所から撮るというような方法で使用します。
望遠側で撮影してもよく解像していて良い写真です。
使用すべきシチュエーション
望遠なので風景を撮影するレンズと考える人が多いかもしれませんが、スナップでもいい感じの働きをしてくれます。
「使用すべきシチュエーション」
・風景写真
・人物撮影
・スナップショット
スナップにおいては少し離れた被写体を、余計な物を写すことなく撮りたい被写体に絞る事ができるので表現力が広がります。
ズームで強力なボケを作る事もできます。被写体に威圧感を与える事なく一瞬を切り取る事ができ、優れた描写性能のあるレンズです。
僕は旅行に行く際に、このレンズと単焦点レンズの2本を持って行く事が多いです。普段は単焦点で撮影し、たまに付け替えてズームレンズでスナップすると、少し違った印象的なし写真になります。
迷ったレンズ
このレンズを購入する前に検討したレンズがいくつかあります。
・XC50-230mm
・XF18-135mm
・XF18-55mm
・XF50-140mm
・XF23mm
・XF35mm
・XF10-24mm
一番にXC50-230mmと迷うことが多いと思います。画像の解像力が変るし、なにより撮る時のモチベーションが全然違ってくるのでXF55-200mmの方が圧倒的に良いです。
またXF18-135mmはとても便利で良いレンズなのですが、先ほど述べたように単焦点と同時に使うにはバランスが悪いためやめました。価格も2万円以上高いですし。
その他XF18-55mmというレンズも同じような理由です。ただこのレンズは F2.8-4と明るいレンズで、価格も6万円前後でエントリーモデルには最適かもしれません。
XF50-140mmは抜群に良いレンズです。価格が倍以上する点や、重量も995gである点から、バランスを考えた時に第一選択はXF55-200mmになりました。
僕がおすすめするレンズ構成は 今回紹介した望遠ズーム XF55-200mm に加えて、単焦点XF23mmもしくはXF35mm、さらに超広角ズームのXF10-24mm。この3本です。
この焦点距離があれば困ることは何もないはずです。もう少ししたら超広角ズームも手に入れるかもしれません。
※2020年始めに購入しました。
XF10-24mmF4を購入。写真観が変わりそうなレンズです【作例】
結局『買い』なレンズです
ここまでこのレンズについて良いところも悪いところも書いてきました。以上のことをまとめると
良い点
・高級感があるデザイン
・シャープな画像
・単焦点 23mm、35mm と相性抜群
悪い点
首からかけた時の前傾
AF速度が速くない
やや暗いF値
長所、短所それぞれありますが、全てを考慮しても良いレンズで「買ってよかったな」と思います。価格以上のことはあるかなと感じています。
最後に
以上のような感じで XF55-200mm のレンズを購入したら、とても良いレンズだったので紹介させてもらいました。ズームレンズが欲しい!って人には自信を持っておすすめできます。
XF23mmF2やXF35mmF1.4がスナップレンズに最適なのに対して、このレンズは表現力を広げられるハイスペックな、FUJIFILMのフラッグシップ用レンズです。
X-Pro、X-T、X−Hシリーズあたりで最も格好よく、抜群に力を発揮してくれると思います。
レンズを持ってどんどん旅に出たいですね。