雷鳥社から出てる「デジタル写真の色を極める」という評判の良書を読んでみました。
この本はLightroomに限らず、すべての現像ソフトで共通する、レタッチをする上で知っておくべきことを28の項目で書かれています。
以前の記事にも書いた通りレタッチは誰もがするべきであって、僕は大賛成です。
【Lightroom】レタッチは正義?邪道?始めよう、レタッチ。
どうせやるなら自分が思った通りの出来栄えにしたいものです。
本屋に並んでいるレタッチの本はたくさんあります。
しかしPhotoshopやLightroom、その他の現像ソフトで写真を綺麗に仕上げる方法には詳しいものが多いのですが、肝心のレタッチに必要なデジタル写真の色や写真そのものの知識が欠けているものが多いのが事実です。
つまり書店に並ぶ多くの本は、ただ単に現像ソフトを「使う」には十分ですが、「使いこなす」のにはやや物足りない。というのが僕の意見です。
自分が思った通りの出来栄えで現像を行い、ソフトを操るにはそれなりの基礎知識が必要なのです。
この本を読むことで基礎を知ることができ、なぜこの操作が必要なのか?という疑問が解決できます。
ちなみに完全に基礎的な内容だけでなく、現像ソフトの使い方もある程度書かれています。
10年経っても古くならない本
本を読み終わって、このことを一番強く感じました。
現像ソフトの種類にとらわれることなくデジタルで編集するための基礎知識が書かれているので、新しいソフトが出たりアップデートされて使い方が変わってもそれに応用できます。
言い換えれば、レタッチの教科書とも呼べる本で、何年経っても基礎を振り返りたい時に戻ってこれる本です。
レタッチを本気でやる人は持っておくべき一冊です。
内容が盛りだくさん
RGBなど色の基礎、ヒストグラムの見方、jpegとRawの違い、レタッチする順番、トーンカーブ、プリントについて、その他まだまだたくさんの項目。
と非常に内容が濃いです。ページ数は300超え。
書店でいろいろな本を読んで見ましたが、正直ここまで基礎から書いてある本はありません。文字ばかりでなく、写真と図で飽きないような内容でした。
作業が早くなる
写真の明るさや、色、コントラストや鮮鋭度を変えるという写真の編集に関することだけでなく、画像の内部構造や特徴、現像するにあたって便利な周辺機器のことまで内容に入っています。
全てを理解すれば、効率的に作業を行い時間も短縮できるようになります。
基礎を知って操作を必要最小限にすることで、無駄な処理を省き結果的に出来上がりのクオリティも良くなるはずです。
初心者から上級者まで
これからレタッチを始める人から、デジタルの基礎に触れて作品をさらに良くしたい上級者までに向いている万能な本です。
これから始めたい人や、普段なにげなくレタッチをしている人には特に読んでほしいと思います。
印象に残った内容
レタッチの第一歩は、写真をきれいにすると考えるのではなくて、「どうしたいのか」と考えることから始める必要がある
ただ単にきれいにしたいと思うと終わりが見えません。どうしたい、という最終形があるとやりすぎることもなくスムーズにいくと言っています。
これはどういった機能が使えて、どのように画像を補正できるかという基礎を頭に入れておく必要があります。
第一印象で感じたイメージは即座に書き取っておくようにしよう。…
…よく、写真を前にして途方に暮れる人がいるけれど、それは「レタッチの方針」、すなわち、写真から受けた第一印象を重視していないからに他ならない。
どうやって終わりを見極めるのかというと、簡単なのが複数の写真を並行してレタッチするという方法だ。
これも最終形を明確にすることに共通します。写真を見て感じた「明るすぎる」や「色味が少し青すぎる」などという第一印象が大事なんですね。
第一印象で気になる所を見つけられれば、最終形をイメージできるはずです。
そして複数枚同時に行うことでパッと見た印象が感じられるということです。
レタッチでは、余計な作業を施すごとに画質は劣化していくし、ローキーからハイキーへというように相反する調整を施すと、画質は極端に落ちてしまう。
これが非常に大切なこと。
僕が感じたレタッチを学ぶこととは
できることを広げるとともに、できることを制限することでもある
今までやってたことを違う少ない手順でできれば画質の劣化も防げるし、先ほど言ったように時間も短縮できます。画質をいかに落とさずにレタッチするかという大事なことが書かれています。
知識として必要なのが、「レベル補正」「トーンカーブ」「カラーバランス」(Photoshopでの名称)の三種類。言い換えれば、”本気”でレタッチするなら、これらの機能が搭載されていないソフトは選ばないほうがよい。それほどに重要かつ必須の機能でもある。
色温度とは「光の色を数値化」した尺度のこと。…
…「色温度」機能はこの特性に従って色を調整するため、直感的かつ写真的に補正できる点が特徴だ。
対して「カラーバランス」機能はというと、非常に論理的でデザイン的な補正機能といえるだろう。
三種類のレタッチ技術について詳しく解説されています。トーンカーブだけですべてを補正できる方法がわかります。どのソフトでも共通するように原理から、手順、画像の変化のビフォーアフターまでわかりやすいです。
明確な基準がない以上、自分の写真をどのようにレタッチしてもかまわないということになるけれど、やはり、「自分なりのルール」は決めておくべきだろう。
以前の記事で書いた、僕が感じていたこと「自分のルールを決めてレタッチをする」
このことに近いことが書いてありました。
やりすぎるとよくないし、デジタルだからこそできることを存分にやりたい、というどこまでレタッチするのか問題を解決してくれる内容が詳しく記されていました。
以上、簡単にではありますが、気になった箇所を引用してみました。この他にも多くのタメになるポイントが散りばめられていますよ。
インプットがあってはじめてアウトプットがある
基礎知識が無いのに単に触っていれば覚える…そんなはずはありません。
本気でレタッチする人や、作品の仕上がりにいまひとつ満足がいかない人は専門の本を読むといいです。レタッチに勉強は必要です。
これから始めたい人も、本で基礎を学んでからでいいかと思います。
僕もこの本を読みレタッチのモチベーションが上がり、もっと早く出会うべき本だったと感じています。
評判は?
読んだほとんどの人が「良い」というように評判はとても良いようです。
僕の正直な感想
単に現像方法だけでなく、写真の現像に関する基礎を学び長く付き合っていく上でバイブルとも呼べる本が欲しいと思って探している時に出会ったのがこの本でした。
他にも現像に関して何冊か読みましたが、これが一番インプットが多い本でした。
メインは操作よりも原理の方なので、現像ソフトの操作を知りたい人はそれ専用の本を買うべきだと感じます。その1冊に加えてもっと使いこなしたい人はこの本を買うのをおすすめです。
総じて言えることは、レタッチは奥が深くて楽しいということです。